ばね新聞Column

ばね新聞コラム 春風満帆 vol.17

まだ寒さが残っていて、衣を重ね着する、更に着る、という意味から「衣更着」とも表される。
今冬は近年にはない強い寒気と不慣れな降雪に見舞われた地域が多く、堪える寒さに衣更着を地で行っている方も多いことであろう。

数年前から、非常に温かく、しかも薄いという機能性が高い下着が多数発売され、人気を博している。
今期は特に顕著であったが、シーズン前や急な温度変化があった日には、店舗に行列ができ、売り切れることもあるというから驚きだ。

重ね着をあまりしなくても温かいということで、実際に着用するとなるほどと言う方が多いそうだ。
その機能性は、素材である合成繊維に秘密があり、衣料及び繊維メーカーが共同で開発した。
現在では関連商品を含め、世界13カ国、累計販売総数が約3億枚に達しているという。

防寒と言えば、それまではいかに暖かい上着を着るかということが主流であった。
ダウンやウール、コットン、フリースなどの素材があり、高価なブランド物もある。
もちろんインナーの重ね着も合わせての防寒対策であったが、ゴワゴワ、モコモコとする感覚が苦手な方も多いのではないか。

薄くて暖かい下着は、それまでの冬物衣料の常識を変えた。
しかしその開発の発端は、夏物のドライ機能を備えた衣類の研究からだという。
偉大な発明は、偶然の産物だという言葉もあるが、夏物から冬物の大ヒットが生まれるとは、愉快な話である。

機能性下着も不屈の商品開発が結実したものづくりのひとつ。
改めて「ばね」を眺めてみると、面白い形で、不思議な機能を備えている。
きっと偶然が重なりあって、現在の姿へと進化を続けてきたのであろう。
押す、引っ張る、ねじるといった変形に対し、従順に元に戻ろうとするばね、この健気な機能性部品に賞賛を贈りたい。